部下へのフィードバックとは?スタッフの成長につなげる伝え方を店長向けに解説

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「フィードバックしなければいけないけれど、どう伝えればいいか分からない」

「改善点を伝えたら、相手を否定しているように受け取られないだろうか」

「褒めるだけでは成長につながらない。でも、厳しく言えばいいわけでもない」

スタッフを育成する立場になると、このような迷いを感じる店長は少なくないと思います。

特に難しいのは、本人なりに一生懸命取り組んでいるのに、その行動には改善が必要なときです。

伝えなければ、同じことが続くかもしれません。

一方で、伝え方によっては「自分を否定された」と受け取られてしまうこともあります。

だからこそ、フィードバックを「できていないことを指摘すること」だけで考えないことが大切です。

私が店舗マネジメントのなかで大切にしてきたのは、スタッフの行動や結果について、良かった点・改善できる点を具体的に伝え、本人が自分の現在地を理解し、次の行動につなげられるようにすることです。

できていないことだけではなく、すでにできていることも伝える。

ただし、良いことだけを伝えて、改善すべきことを曖昧にするわけでもありません。

この記事では、店舗で実際に経験した事例も交えながら、店長がスタッフへ何を、どのように返せば、次の行動や成長につながるのかを考えていきます。


目次

職場のフィードバックとは?スタッフを次の行動につなげるもの

フィードバックという言葉を聞くと、「注意する」「間違いを指摘する」「評価を伝える」といった場面を思い浮かべるかもしれません。

しかし、店舗マネジメントで考えるなら、フィードバックの役割はそれだけではありません。

私が考えるフィードバックは、

行動や結果を見て、本人が現在地を理解するための情報を返し、次の行動につなげること

です。

フィードバックは「ダメ出し」や「注意」だけではない

たとえば、スタッフの接客に改善すべき点があったとします。

「もっとお客様を見て」

「もっと積極的に接客して」

「まだできていないよ」

これだけでは、「できていない」ことは分かっても、何を変えればよいのかまでは分からないかもしれません。

反対に、良かった行動についても同じです。

「ありがとう」「よく頑張ったね」だけでなく、

何をしたのか
その行動が誰に、どのように役立ったのか

まで具体的に返すことで、本人は「何を続ければよいのか」を理解しやすくなります。

良かった行動は、具体的に伝えて再現につなげる。

改善が必要な行動は、人格ではなく行動や事実を見て、次にどうするかにつなげる。

どちらもスタッフの成長に必要なフィードバックです。

コミュニケーションとフィードバックの違い

前回の記事では、職場のコミュニケーションを「相手との認識をそろえ、同じ方向へ進める状態をつくること」と整理しました。

コミュニケーションという土台については、こちらの記事で詳しく解説しています。

その土台があったうえで、今回のフィードバックでは一段先へ進みます。

コミュニケーションは、認識をそろえる。

フィードバックは、行動や結果について必要な情報を返し、次の行動につなげる。

そして次の記事で扱うコーチングでは、質問や対話を通して、本人の考えや答えを引き出していきます。

今回の記事では、「行動や結果に対して、店長が何をどう返すか」に絞って考えていきます。


なぜ店長にフィードバックが必要なのか

店舗では、接客、売場づくり、商品整理、ストック業務、チームへのフォローなど、売上の数字だけでは見えない行動がたくさんあります。

本人は頑張っているけれど、期待されている行動との間にズレがある。

反対に、本人は当たり前だと思っている行動が、実は店舗に大きく貢献している。

どちらも現場では起こります。

フィードバックによって、

「ここはできている」

「ここはもう少し変えられる」

という現在地が分かれば、次に取り組むことも見えやすくなります。

結果だけではなく、行動を見る

売上が良かったスタッフに、

「売上が良かったね」

と伝えるだけでなく、

「お客様の話を聞いてから提案していた」

「ほかのスタッフにも情報を共有していた」

など、結果につながった行動まで見る。

そうすれば本人も、何を続ければよいのかを理解しやすくなります。

改善が必要な場合も同じです。

「ダメだった」で終われば過去の評価ですが、

「では、次はどうするか」

まで具体的になれば、未来の行動へ変わります。

日々の行動を店舗目標につなげる

Project FREEDOMの店舗マネジメントシリーズでは、

日々の行動 → 個人目標 → 店長の目標 → 店舗目標

というつながりを大切にしてきました。

フィードバックは、この「日々の行動」を確認し、必要に応じて軌道修正する役割も持っています。

特に売上結果だけでは原因が分からない場合は、個人KPIまで分解すると、どの行動を振り返ればよいのか見えやすくなります。


フィードバックは「行動→振り返り→次の行動」の循環で考える

フィードバックは、一度伝えて終わりではありません。

私は、次のような循環で考えることが大切だと思っています。

行動・結果
↓
フィードバック
↓
本人が現在地を理解する
↓
良い行動を続ける/改善点を理解する
↓
次の行動
↓
実践
↓
成長

最初に必要なのは、普段の仕事を見ることです。

改善点だけを探すのではありません。

何ができているのか。

どのような工夫をしているのか。

周囲にどんな貢献をしているのか。

そして、どこに改善の余地があるのか。

普段の行動を見ていなければ、具体的なフィードバックは難しくなります。

見えたことを返すときには、人格ではなく、できるだけ具体的な行動や事実を扱います。

そして、

「次は何を続けるのか」
「次は何を変えるのか」

まで具体的にする。

実践したあとは、また行動を見る。

少し変わったところがあれば、それを返す。

まだ難しいところがあれば、もう一度考える。

一度のフィードバックですべてが変わるとは限りません。

この繰り返しが、少しずつ行動の変化につながっていきます。


改善点を伝えることと、相手を否定することは違う

フィードバックの言い方に、絶対的な正解があるとは思いません。

スタッフによって経験も価値観も違い、同じ言葉でも受け取り方が変わるからです。

それでも、店舗マネジメントの経験から、私は特に、

相手を否定しないこと。

自分の価値観を押しつけないこと。

抽象的な指摘で終わらせないこと。

を大切にしてきました。

ここからは、実際の経験をもとに考えてみます。

ベテランスタッフが、初めて店長になったとき

販売や実務の経験は十分にあるものの、店長としてはまだ経験の浅いスタッフがいました。

責任感が強く、

「自分が正しいと思うことを貫くことが、店長としてスタッフを守ることにつながる」

と考えていた人です。

その一方で、自分とは違う意見や考え方を持つ人を受け入れることが難しく、自分が正しいと思うことと合わない意見を否定したり、感情を表に出してしまったりすることがありました。

取引先と対立し、会社へクレームが入ったこともあります。

ただ、本人の認識では「店長として自分の仕事を全うしている」「スタッフを守っている」というものでした。

ここでいきなり、

「その考え方は間違っている」

「感情的になってはいけない」

と否定しても、本人がなぜその行動を取っているのかを理解しないまま、話が進んでしまいます。

そこで私はまず、慣れない店長業務のなかで試行錯誤し、葛藤を抱えながら頑張ってくれていること、日々の努力や取り組みに対する感謝を伝えました。

これは、改善点を聞いてもらうために先に褒める、という意味ではありません。

努力している部分は努力として認める。
そのうえで、改善が必要なことは別の問題として扱う。

ということです。

そのうえで、自分とは違う意見や考え方を持つ人を、本人がどう受け止めているのかを聞きました。

そして、店長になれば、これからもさまざまなタイプのスタッフが入社してくること、取引先にもさまざまな立場や考え方があることを伝えました。

違う意見を聞いたときに、すぐ自分の意見や感情をぶつけるのではなく、一度それを横に置いて、

「そんな考え方もあるんだ」

と、まず目の前の人の話に耳を傾けてみる。

もちろん、それは相手の意見をすべて受け入れる「イエスマンになる」という意味ではありません。

さまざまな意見を一度受け止めたうえで、

「では、どうすればみんなでより良い方向へ進めるのか」

を考えることも、店長の役割ではないかと伝えました。

また、自分と違う意見ややり方を持つ人と戦うことだけが「スタッフを守ること」ではないこと。

もう少し視座を上げ、違いを認めたうえで、どうしていくのかをみんなで考えられるようになることが、結果としてスタッフを守ることにもつながるのではないか、と話しました。

話している間、彼女は悔し涙を浮かべていました。

それでも、現状の彼女を否定するのではなく、

「十分頑張ってくれていることは伝わっている。だからこそ、もっと良くなるために考えたい」

という流れで話を進めました。

すると、

「肩に力を入れて頑張っていた」

「自分が感情的になってしまうことが正解ではないことも感じていた」

「でも初めての店長業務で、どうすることが正解なのか分からなかった」

という本音や弱音が出てきました。

もちろん、一度のフィードバックですぐに感情をコントロールできるようになったわけではありません。

それでもその後、納得できないことが起きたときに、

「一度立ち止まって考える」

ことを少しずつ意識して取り組んでくれるようになりました。

この経験から改めて感じたのは、改善点を伝えることと、その人自身を否定することは違うということです。

本人がなぜその行動を取っているのか。

そこにはどのような意図があるのか。

できていることや努力していることは何か。

それらを見たうえで、改善すべき行動は曖昧にせず伝える。

そして、一度ですべてを変えようとするのではなく、その後の小さな変化も見ていく。

難しいフィードバックほど、この姿勢が大切なのではないかと思います。


自分に響く言葉が、相手にも響くとは限らない

フィードバックでもう一つ注意したいのは、店長自身の成功パターンを、そのままスタッフへ当てはめないことです。

ある店長が、スタッフへの目標設定とフィードバックに悩んでいたことがあります。

その店長は数字への意識が高く、自分で目標を立てたら、そこへ向かって真っすぐ進める人でした。

目標達成のために決めた行動を実行でき、周囲から期待されることもプレッシャーではなく、自分の力に変えられるタイプです。

一方、その店長がフィードバックに悩んでいたスタッフは、自分の個人売上を上げることより、周囲のスタッフのフォローに入ることを優先するタイプでした。

そのため、個人売上はかなり低い状態でした。

店長とスタッフでは、数字や目標に対する考え方が大きく違っていたのです。

私は店長に、

「自分で目標を立て、そこへ向かって進める意志の強さや、期待を自分の力に変えられることは、あなたの強みだと思う」

と伝えました。

そのうえで、

「でも、みんなが同じように期待を力へ変えられるとは限らない。期待されることがプレッシャーになり、苦しくなるスタッフもいる。自分と同じ前提で伝えても、相手には届かないことがある」

という話をしました。

そして、まず、

「あなたの日々の行動が、店舗にどう貢献しているのか」

を具体的に伝え、その行動への感謝を伝える。

そのうえで、

「次のステップとして、ここまでできるようになってほしい」

と期待値を伝えてみてはどうかと提案しました。

フィードバックでは「何を言うか」だけではなく、相手にどう届くかまで考える必要があります。

期待されることが力になる人もいれば、プレッシャーになる人もいます。

店長自身に効果があった言葉が、すべてのスタッフにも同じように響くわけではありません。

相手の強みや価値観、受け取り方を見ながら、伝え方の引き出しを増やしていくことも、マネジメントの一部だと思います。

こうした「一人ひとりの違いを見ながら関わる」という考え方は、リーダーシップにもつながっています。


改善フィードバックは「行動・事実→影響→次の行動」で考える

改善が必要なことを伝えるときも、人格ではなく具体的な行動を扱います。

整理すると、

どんな行動・事実があったのか
↓
それによってどんな影響があったのか
↓
次はどんな行動に変えるのか

という流れです。

「あなたは仕事が遅い」

では、本人の能力そのものを評価されているように聞こえやすく、何を変えればよいのかも分かりません。

それよりも、具体的な行動と、その影響を見ることが大切です。

「効率よく」を具体的な行動に変えた店舗での例

ある店舗で定期的にチームミーティングをしていたとき、「店舗運営の効率を上げたい」という課題がありました。

以前から、

「効率よく店頭を回そう」

という目標を立てていました。

しかし、スタッフからこんな話が出ました。

時間が空いたタイミングで、進んでストック整理へ行ってくれるスタッフがいる。

ストック整理をしてくれること自体は助かっている。

ただ、なかなか店頭へ戻ってこないため、その後の休憩が回らなくなり、結果として店舗全体の効率が下がってしまう。

ここで大切だったのは、ストック整理をするスタッフも、店頭の休憩を回そうとするスタッフも、どちらも**「店舗を良くしたい」**と考えていたことです。

目的が違っていたわけではありません。

違っていたのは、

「効率よく動くとは、具体的に何をすることなのか」

という認識でした。

そこで私は、

「空いた時間に進んでストック整理へ行ってくれていることには、みんな感謝しているんでしょう?」

と確認しました。

答えは「はい」でした。

ならば、その良い行動をやめさせる必要はありません。

そこで、店舗の課題だった「スケジュール管理」と結びつけ、

  • 何分でストック整理を終わらせるのか
  • 何分に店頭へ戻るのか
  • その後の店頭の休憩回しをどうするのか

まで自分で考え、宣言してもらってはどうかと提案しました。

そして必要であれば、

「店頭の休憩回しまで含めて考えると、店舗全体のスケジュール管理につながるよ」

とフィードバックする。

この方法なら、自発的にストック整理をしているという良い行動を否定する必要はありません。

その行動に、

「店舗全体のスケジュールまで考える」

という次の視点を加えることができます。

「効率よくして」

という抽象的な言葉を繰り返すのではなく、

「では、具体的に何をするのか」

まで落とし込む。

それによって、店舗運営の改善とスタッフ育成を同時に考えることができます。


フィードバックで避けたい3つのこと

ここまでの内容を整理すると、特に避けたいのは次の3つです。

人格や性格を評価する

「協調性がない」

「やる気がない」

「責任感がない」

といった言葉は、その人自身への評価として受け取られやすくなります。

見るべきなのは、

何をしたのか
何が起きたのか
周囲にどんな影響があったのか

という具体的な行動や事実です。

「もっと頑張って」で終わらせる

「もっと頑張ろう」

「効率よく動こう」

「もっと意識しよう」

だけでは、スタッフが「明日から何を変えればよいのか」を理解できないことがあります。

抽象的な言葉を使ったときほど、

「具体的には何をするのか」

まで考えることが大切です。

伝えただけで終わる

店長が伝えたことと、スタッフが理解したことは同じとは限りません。

さらに、理解したことと、実際に行動できることも同じではありません。

一度フィードバックしたあとも、次の実践を見る。

変化があれば、それをまた具体的に返す。

必要なら、もう一度考える。

フィードバックは一回の会話ではなく、日常のマネジメントのなかで続いていくものです。


フィードバックをスタッフの成長につなげるために

店舗マネジメントでは、売上やKPIなどの数字を見ることも重要です。

しかし、数字を変えていくのは日々の行動です。

店舗目標・個人目標
↓
日々の行動
↓
店長が見る
↓
フィードバック
↓
良い行動を続ける・必要な行動を改善する
↓
実践・成長
↓
店舗の成果へ

という循環があります。

「評価する人」ではなく「成長を支える人」として関わる

フィードバックする立場になると、

「正しいことを言わなければ」

「改善させなければ」

と力が入ってしまうことがあります。

しかし、店長がスタッフを思い通りに変えることがフィードバックの目的ではありません。

店長自身にも、見えていないことがあります。

スタッフにも、それぞれの考え方や強みがあります。

だからこそ、

相手の努力や貢献を見る。

背景や意図を確認する。

良かった行動は具体的に伝える。

改善が必要なことは曖昧にしない。

そして、次に何をするのかを具体的にする。

その積み重ねによって、スタッフ自身が現在地を理解し、次の一歩へ進みやすい状態をつくることが、フィードバックの大切な役割だと私は考えています。


まとめ|フィードバックはスタッフの次の行動をつくる

フィードバックの目的は、スタッフを店長の思い通りに変えることではありません。

また、できていないことを見つけて指摘することだけでもありません。

大切なのは、

  • 日々の努力や店舗への貢献を見る
  • 良かった行動は具体的に返し、再現につなげる
  • 改善が必要なことは曖昧にしない
  • 人格ではなく、具体的な行動・事実・影響を見る
  • 店長自身の価値観をそのまま押しつけず、相手によって伝え方を考える
  • 抽象的な言葉で終わらせず、次の具体的な行動につなげる
  • 一度で変わることを求めず、その後の小さな変化も見る

ということです。

今回紹介した、初めて店長になったスタッフへのフィードバックも、一度の会話ですべてが解決したわけではありませんでした。

それでも、

「一度立ち止まって考える」

という小さな行動変化につながっていきました。

人の成長は、店長が正解を伝えればすぐに起きるものではないと思います。

だからこそ、普段の仕事を見る。

必要な情報を返す。

そして、次の実践をまた見る。

その繰り返しが大切です。

あなたが今、フィードバックに悩んでいるスタッフには、すでにできていることや、店舗に貢献している行動はありませんか?

まずは、その行動を一つ具体的に見つけて、本人に伝えるところから始めてみてください。

そして、フィードバックでは店長から「情報を返す」ことを中心に考えましたが、スタッフ育成では、いつも店長が答えを伝えるだけではありません。

本人自身が考え、答えを見つけられるように関わる方法もあります。

次の記事⑪では、質問や対話によって本人の考えを引き出す**「コーチング」**について考えていきます。

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